「ゾンビーバー」感想
筋立てをざっくり説明すると、お泊まり女子会を楽しむ女の子3人が彼氏とゾンビになったビーバー達に襲われる、という物語。
ホラー嫌いの私がコレに興味を抱いた理由は、撮影に使われたゾンビーバーの実物を目にしたから。
たまたま他の作品を観に行った劇場でガラスケースに入ったソレを目撃したのです。
さらにはこの作品のレビューに「ゾンビーバーが可愛い」という意見が少なくないようだったので、どれだけ可愛いのか観てみよう、と思ったのです。
ビーバーがゾンビになったのは、管理不行き届きの核物質のせいというお馴染みの理由から。
物語冒頭ビーバーをゾンビたらしめた核物質を運ぶトラックドライバーたちの会話がクズの極みです。
その後登場する女子3人組も、その彼3人組も、近所のおじさんおばさんたちも、揃いも揃ってクズばかり。
作品内容としては彼らのクズ合戦をゾンビーバーがさらに盛り立てるというもので、ガハハハハと笑いながら時々ギャッッという驚きを挟みつつ楽しく鑑賞できました。
で、肝心のゾンビーバーの可愛さ、についてですけど。
まぁ可愛いと思えなくもない、というのが私の感じた正直なところです。
例えるならマギー審司の芸の一つラッキーくんとアンラッキーちゃんの可愛さ、みたいな感じ。
平たく言えば、後ろで一生懸命人間が操っているぬいぐるみの可愛さ、ってことでしょうな。
あ、女の人のハダカが出てくるので、お子様には見せない方がいいと思います。

「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」感想
人生に悲観しフテくされた孤独な盲目の退役軍人が、自身もトラブルを抱え人生の選択に迫られている心優しい青年との数日間の交流を通じて、自分の人生を見つめ直し新たな希望を見出すまでを描いたヒューマンドラマ、とWikiにはありました。
物語的にはツッコミどころが満載で、リアリティが感じられなくてあまりピンと来なかったんですけど、二人の主人公のキャラがなかなか素敵でじんわり心に沁みたんです。
アル・パチーノ演じる退役軍人の中佐はとにかくワガママ放題で、心優しき青年チャーリーを振り回します。
チャーリーはまだ高校生なのになかなか落ち着いていて、ワガママ中佐に根気よく付き合ってやります。
中佐が実の兄の家に押しかけ感謝祭の夕餉を台無しにしようとした際には「彼は寂しいんだと思います」とチャーリーは中佐の兄に向かって言うんです。
その言葉を聞いた時私は、ああチャーリーは人の心のわかる人間なんだ、彼もかつて寂しい思いをしたことがあるんだな、と思いました。
20歳になるやならずなのに、彼のこの落ち着きは一体どこから来てるんだろうと、つらつら考えたんですよ。
チャーリーは親とはうまくいっていないらしい。
故郷では実母と義父が待っていて、実父は行方知れずとのこと。
実父との別れが辛かった記憶があるんでしょうね。
つまり実父からちゃんと愛されていたということでしょう。
喜怒哀楽があまり表に出なくて、歳の割にはやたら落ち着いているところが、ちょっとウシジマくんに似ているように思えて見ていて切なかったです。
そんなチャーリーは全寮制名門高校に通う苦学生で、裕福な家庭の子息の一人が校長の車にイタズラを仕掛けるのを目撃してしまいます。
そのことで校長からパワハラを受けて悩む、というのが前述のトラブルなワケですが、この校長がまぁどうにもマヌケで仕方ないんですわ。
何しろ校内放送で実況中継するようなイタズラなのに、それが誰の仕業か気づけないようなダメ教師なんですもん。
まるでどこぞの大学の運動部の監督みたいだと思いました。
いや、それ以上マヌケかも。
親しく言葉を交わすような生徒だったはずなのに、マイク越しだと声の持ち主が同じ生徒だとわからないなんて。
あれだけ大勢の人間のいる前でのイタズラで、犯人が誰だかわからないのは校長一人、つまり彼は裸の王様ってことじゃありませんか!
公開懲戒委員会はイタズラの犯人が誰かではなく、校長のダメさ加減を審査したに違いない、そう思いました。

「パフューム ある人殺しの物語」感想
時は18世紀のパリ
悪臭のたちこめる魚市場で産み落とされたジャン(ベン・ウィショー)は
驚異的な嗅覚を持つがゆえに奇怪な青年として周囲に疎まれていた
ある晩ジャンは芳しい香りの少女に夢中になり誤って殺してしまう
やがてジャンは少女の香りを再現しようと調香師となり香水作りに没頭するが・・・
サブタイトルにずばり人殺しの物語とあるので、私の苦手なホラーサスペンスな作品だと覚悟して観賞。
確かにホラーサスペンス(しかもちょっとグロい)ではありましたが、結構乙女チックファンタジー度も高くて、私は嫌いじゃないです。
最初に誤って手にかけてしまった少女の次に、ジャンはまたとびきりの美少女に目をつけるんですわ。
この美少女のエピソードがまるでロミオとジュリエットのような展開で、とっても切なかった。
肝心の主演ベン・ウィショーの方はというと、なかなか変態野郎がお似合いでしたよ。
そういえば彼「ロブスター」でも変態役でしたもんね。
あーいや、あの作品は登場人物みんな変態だったっけ。
考えたら007のQもある意味変態に近いのかも、なるほどそうだったのか〜。
変態のお好きな人にはオススメですよ。

「日本で一番悪いヤツら」観た
北海道警察の実際にあった事件をモチーフにした犯罪物語なんですけど、見ているとなんとも滑稽でした。
綾野剛演じる主人公諸星が一生懸命になればなるほど哀れで切なくて、そしてその哀れさが過ぎると滑稽に見えてくる、そういうパターン。
井の中の蛙大海を知らず、とは良く言ったもの。
北海道警察という狭い井戸の中の蛙の諸星は、必死で自分の世界である井戸(北海道警察)のために働いたのに、結局その井戸に裏切られるんですよ。
切ないわ〜。
私は綾野剛そんなに好きではないんですけど、ファンなら必見の作品だと思いますよ。
何しろ彼の濡れ場が何度も何度も・・・、少なくとも三回はあったな、しかも相手が全部違うし。
羨ましいぞ綾野剛ファン、笑
何より羨ましいのは、彼の白ヒゲ姿が出てきたこと。
諸星が50歳を過ぎたところまで描かれているので、終盤かなり老けメイクになります。
ヒゲにも白髪が混じっている造形が良かった。
早くY氏にもそういう役をやって欲しいです。

映画「アフリカの女王」感想
1914年のドイツ領東アフリカ
イギリス人宣教師ローズの兄が
ドイツ兵による略奪行為の際に命を落とす
ローズは飲んだくれの男チャーリーが操縦する
オンボロ蒸気船『アフリカの女王』号に乗り込み現地を脱出
川を下るチャーリーとローズは
沿岸のドイツ砲艦を手製の魚雷で撃沈しようとたくらむ
しかしその途中には銃撃や急流といった
数多の難関が待ち受けていた!
TSUTAYAディスカスで検索したら「麗しのサブリナ」も一緒に出てきたので???と思ったら、サブリナが最終的に惚れる富豪の兄さん役だったハンフリー・ボガートが出てるんですね。
物語はまさに「吊り橋効果」を映像化したようなラブストーリーです。
第一次世界大戦が始まり、敵国ドイツ軍に包囲された東アフリカから母国イギリスに戻ろうと、オンボロ貨物船アフリカンクイーン号で川を下る一組の男女の冒険譚。
激流下りに始まり、敵軍からの雨あられと降る銃弾をかいくぐり、沼地の迷路にはまり、嵐に遭う・・・。
そんな数々の困難を力を合わせて乗り越えていく男と女の間に、恋が芽生えないワケがありません。
たとえどんなにトウがたっていようとも、女性はいつまでたっても夢見る乙女なんですってば。
沼地の迷路の中では、今では鉄板となった大きなヒルも出てきます。
上半身と脚の先の方だけのヒルを火であぶって取ってたんですけど、大事なところあたりにはノータッチってのは、昔の映画だけあって品がおよろしいかと。
実は私これの原作小説を読んだはずなんです。
何しろ「ホーンブロワー」シリーズと同じ作者ですから、興味を持たないわけがありません。
昔々のそのむか〜し、まず原作を読んでから映画を観てみました。
まだレンタルビデオの時代だったと思います。
映像を見て真っ先に感じたのは「え?アフリカンクイーン号ってこんなにオンボロだったの?!」でした。
ただのボートに蒸気エンジンが積まれてるだけじゃん!
まさか屋根すらなくて布が一枚張られてるだけだなんて!と驚きました。
今回じっくり見てみたんですけど、貨物船の割りには小さ過ぎ、荷物なんて積む場所ありました?
まぁダメ出しはこのへんにしましょう。
作中に沢山登場する野生動物たちの姿が、本当に生き生きとしたリアルな映像だったのは、とても好感が持てました。
特にワニがゾロゾロわさわさしているのは、色々とゾワゾワしましたよ。
てっきりワニに襲われるシーンがあると思ったものですから。
そういうのがなかったのは、今と違って画像の加工技術が発達してなかったからですかね。
ファンタジックアドベンチャーラブストーリーの古典とも言える作品、一見の価値アリですよ。

映画「ガッチャマン」観た
1972年〜1974年にテレビ放映されたアニメをリアルタイムで見ていました。
それと比べてはいけないのはわかってます。
科学忍者隊と敵ギャラクターとの対立を、新しい発想でより詳細に描いていて、近未来アクション作品としては、なかなか意欲的ではあると思うんですよ。
けどなぁ、どこかテレビの戦隊物の延長のようなテイストに感じられ、どーしても子どもだましのように見えてしまうのは私の見る目がないからでしょうか?
内容のことに触れると長くなりそうなので、アクション作品としての観点から一つ気が付いたことを記しておきます。
私がアクション映画を好んで観るのは、人間の体の動きを見るのが好きだからです。
バレエを観賞するのと同じようなものだと思います。
ダニエル・クレイグのボンドを観た時には、彼の走る姿の美しさに目が釘付けになり、すっかり惚れ込みました。
とてもシンプルなことですけど、この走る姿が美しいというのはアクション映画ではとても大切だと思うんですよ。
今作では主人公というかメインキャラの一人が走るシーンが何度かあったんですが、正直全く美しくなくて・・・。
そういえば、この物語の主人公は綾野剛演じるジョーだと私は思うんですけど、彼はそこそこ走る姿は悪くないと思います。
何しろ長距離の陸上選手でしたから。
それで言うと中村獅童は本当に美しかった。
ただグルグル円を描くように歩くだけだというのに、その姿に目が釘付けになってしまいましたわ。
さすが生まれた時から鍛錬している人の体の動きは違いますな。
今にして思えば中国映画「レッドクリフ」に彼が出演したのも納得です。
しゃべらなくても佇まいだけで存在感が出る、そんな役者さん今の日本では歌舞伎界出身の人しかいないのかも。
実は私アニメの南部博士が好きだったんですわ。
つくづく幼少の頃よりヒゲ好きだったんだなと、改めて自分に自分で感心しました。

強くて怖くて厳つい男の可愛い名前にギャップ萌えの法則
鈴蘭高校最強の男リンダマンの本名が林田恵というのを聞いて、あーやっぱりなぁと思いました。
強くて怖くて厳つい男ってのは、実は女の子みたいな可愛い名前が似合うってこと。
とか
とか笑
で、肝心の「クローズEXPLODE」の感想はというと。
まず冒頭でユキちゃんが出てきたのでビックリ。
五郎ちゃんというキャラでかなり出番が多くて、そしてその小ささを存分に発揮していました。
いや可愛いわぁユキちゃん。
ユキちゃんの俳優名は、えーと矢本悠馬だったかな。
今年中には覚えられると思う、たぶん。
同じく小さくて印象に残ったのは永山絢斗のチンピラ。
救いようの無いクズっぷりが見事でした。
主人公がいったい誰なのかわからないくらい、とても高校生には見えない高校生が沢山出てくるんですけど、一番オーラの強かったのは柳楽優弥でしょうな。
特に背中を刺された直後に学校に殴り込みに行くシーンでの、体中の緊張感が素晴らしかった。
まるで全身の毛が逆立っているような気迫がありました。
筋立てに関しては何も触れないでおきます。
まストーリーなんてあってないようなもんですから。
ちょっと説明台詞が多かったかな。

アニメ「ソーセージ・パーティ」感想
スーパーマーケット「ショップウェル」で
ソーセージのフランクは恋人であるパンのブレンダと
結ばれホットドッグになることを夢見るなど
食材たちは人間に買われることを望んでいた
ある日ついに一緒にカートに入れられ
喜ぶフランクとブレンダだったが
アクシデントが発生し店に取り残されてしまう
一方夢がかない購入された食材たちは・・・
先日コメダ珈琲でモーニングしていたら、隣の席のママ友たちが映画「無限の住人」の話をしていました。
曰く、子どもも観たいと言ったけど、これは子どもが見ちゃいけない作品なのよと言って自分が一人で観に行った云々。
PG12のレーティングのことを指していたようなので、黙って聞いていられなくてつい口を挟んでしまった、おせっかいオバさんの私。
「あの〜PG12ってのは12歳未満禁止って意味じゃありませんよ、親子で観る分には全然OKですよ、R18+ってのはいわゆる18禁で、たまにR15+というのもありますけど(中略)ぜひ無限の住人をお子さんにも見せてあげてくださいね」
いや別に私は全くキムタクのファンではないし、無限の住人もどーでもいいんですけど、これを「闇金ウシジマくん」に置き換えると、全くもって「是非ぜひ親子で観てくださいね」と言いたくなるだろうから、このPG12の勘違いは今ここで訂正しておいた方がいいと思ったってワケです。
と前置きが長くなりましたが、この「ソーセージ・パーティ」という作品はR15+というレーティングになってます。
はい、そうです、話の内容はとにかく下ネタオンリーなんです。
登場人物が食材をモチーフにしたキャラという、なんともシュールなビジュアルなので、そのエゲツナさやバカバカしさが薄められてますけど、中心になるテーマは「やるかやられるか、笑」です。
荒唐無稽という言葉が薄っぺらいと感じるくらい、バカバカしい作品なんですけど、そこそこ面白かったんですよ。
「この世界の片隅に」が老若男女関わらず、全ての人に勧めたくなる作品だとしたら、この「ソーセージ・パーティ」は15歳以上の人全てに勧めたくなる作品だと、個人的には思ってます。
まぁ一度騙されたと思って手に取って、そのバカバカしさに呆れてください。

映画「任侠野郎」感想
かつて関東一円にその名をとどろかせていた男
小里組若頭・柴田源治(蛭子能収)
彼は過去と決別し堅気として生きていくために
クレープ屋を営んでいたが
昔の仲間との再会をきっかけに
再びヤクザの抗争事件に巻き込まれていく
公式サイト(リンクはこちら)には『主演・蛭子能収、脚本・福田雄一、脇を固める豪華共演陣』とあります。
見どころはまさにその三点だったと思います。
こういう作品が公開されるということは、今でもやっぱり任侠物ってのは、ある程度の需要があるってことなんでしょうね。
私も嫌いじゃないです、義理と人情に生きる男たちの話は。
けど何よりビックリしたのは「蛭子さん主演でかっこいい作品を作りたい」というのが、この作品の監督さんの思いだったということ。
なるほど確かに蛭子能収への愛は随所に溢れていたように感じました。
ただやっぱりちょ〜っとぬるいというか、キレが悪いというのか、笑っていいのか悪いのかわからないような演出が多くて。
特にガビョウの下りはねえ、福田雄一らしいっちゃらしいんですけど。
福田雄一というと「変態仮面」「女子ーズ」「俺はまだ本気出してないだけ」そして近々公開の「銀魂」なんて映画の監督作があって、コメディでは定評のある人です。
ん?何か一つ大切な物を忘れてないかって?というツッコミしてくれる人もいないだろうから、自分で言っときます。
福田雄一の一番の傑作はズバリ「勇者ヨシヒコシリーズ」だと思います。

「ラッシュ/プライドと友情」感想
性格もレーススタイルも相反するF1レーサー
ニキ・ラウダ(ダニエル・ブリュール)と
ジェームス・ハント(クリス・ヘムズワース)が
激しい首位争いを繰り広げていた1976年
ランキング1位だったラウダは
ドイツ大会で大事故に遭遇し深いけがを負う
復活は無理だと思われたがわずか6週間でレースに復帰し
日本の富士スピードウェイでのシリーズ最後のレースに臨む
見事なスポ根物語でした。
水と油のような二人のレーサー、楽しむ事を信条とするハントと、緻密な計算で勝利を目指すラウダの対比は、まるでフィクションのよう。
ハントが若くして逝ってしまっているなんて、まさに事実は小説よりも奇なりです。
そんな余計な筋立てなど必要ない事実があれば、後は演出さえ良ければ上質な映画にならないワケがありません。
中でもハントとラウダ、それぞれの伴侶との出逢いのお膳立ては素晴らしい。
特にラウダとマルレーヌの出会い方が秀逸でした。
乗っていた車が故障してヒッチハイクするラウダとマルレーヌ。
止まってくれた車は美女のマルレーヌが目当てかと思いきや、ラウダのファンだったりするの。
印象的な台詞も沢山あって、思わずメモってしまいましたわ。
前述のファンの車を運転するラウダの台詞「賞金も出ないのにスピードを出す理由はない」だとか。
「賢者は敵から多くを学ぶ」だとか。
マルレーヌと結婚して幸せすぎて怖くなってしまったラウダに妻がかけた言葉「幸せを敵と呼んだら終わり、勝てっこないから」なんて名言だと思いません?
カッコいい車の疾走する、まさにラッシュの模様もどきどきワクワク。
ニキ・ラウダという名前だけは聞いたことがあるかもって人(まさに私もその一人)には是非ゼヒオススメしたい作品。
けどサブタイトルのプライドと友情って・・・、古風というか陳腐というか、センスなさ過ぎと思ったのは私だけではないはず。
