のぼう様の美しい敵役を讃える その5

主人公ののぼう様が狙撃され、どうなるかとハラハラドキドキして始まった二度目の戦は、あっけなく幕が下ろされました。主城である小田原城が先に落ちたとの伝令を持った一人の騎馬武者が、馬から転げ落ちるようにして、単騎で討ち出た丹波(佐藤浩市)を止めます。

この騎馬武者の落馬のし方が半端なく真に迫っているなと思ったら、案の定これで肋骨を骨折したとか。つまり真に迫った落ち方じゃなくて、真に落ちたってことよね。これ以上の迫力は望むべくも無いでしょう。走り去る馬もまるで指示されたみたいにカメラに向かって突進して来るし、偶然とはいえこのシーンの緊迫感は見事です。

やがて開城した忍城に、総大将石田三成が自ら乗り込み合議が行われます。広間に並んで腰掛ける石田三成、長束正家、大谷吉継の姿が皆三者三様に麗しい。上地雄輔石田三成は本当にプロポーションが良いです。豪華な甲冑をつけて座った様は、まるで五月人形のよう。まさに絵に描いたような武者姿です。

背の高い平岳大長束正家は、長い手足を持て余すように横柄な座り方で、相変わらずのぼう様たちの神経を逆なでします。そして山田孝之大谷吉継はというと・・・クスクスっっ。

山田孝之祭りでいろんな作品を見て気がついたのですが、彼はどうやら男性にしてはかなり体が柔らかいようですね。ウシジマくんのヤンキー座りはあんまりヤンキーっぽくないんですわ。妙にちんまり落ち着いて、まぁ、わかりやすく言うと女の子っぽいの。

という訳で、この合議のシーンでの山田孝之大谷吉継も、ちんまり落ち着いて、ええーと女の子みたい、というか・・・・つまりそのぉ・・・可愛いんですってば。あーーー!?ついに言っちゃったよ、可愛いって。だめでしょ〜、戦国武将のことをカワイイなんて言ったら〜。
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のぼう様の美しい敵役を讃える その4

のぼう様が田楽踊りを舞うシーンは、この作品のクライマックスです。そのため特典映像には、関白軍のシーンを抜いた田楽踊りのフルバージョンというのが収録されています。ですが、関白軍側からの視点でも、この田楽踊りを観ているシーンはクライマックスなのです。

石田三成に武功を立てさせたいがため、忍城主の成田氏長の内通を、関白秀吉は大谷吉継だけに知らせていました。つまり忍城攻めは、戦わずとも勝てる戦だったのです。けれどもそのことを知らない石田三成は、田楽踊りを舞うのぼう様を狙撃しようとします。必死でそれを止めようとする大谷吉継の形相が、まるでCGみたいに見え、かがり火を映し込んだ目がゾンビのようでコワイです。

真実を知らされた石田三成の表情も良いです。「撃て」と命ずるまでのわずかの間の葛藤が、手に取るようにわかります。それまでずっと不適な笑みを浮かべ、余裕をうかがわせていた彼の心が、丸裸にされたかのよう。「これでこの戦、泥沼となったぞ」の大谷吉継の言葉通り、先行きの見えない展開にハラハラさせられます。

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のぼう様の美しい敵役を讃える その3

関白軍三武将のうち、ストーリー上ポイントとなる台詞を割り当てられているのが、山田孝之演じる大谷吉継です。勢いのある徳川家康の東軍につくことより、旧友である石田三成の西軍につくことを選んだ、友情に厚い武将とのこと。その彼の衣装は長束正家の物に比べ、良く言えば質実剛健、悪く言うとかなり地味です。

総大将の石田三成の装束は、派手な長束正家と地味な大谷吉継の中間どころ。複雑な文様の入った黒一色の陣羽織が、派手ではないけれどなかなか華やかです。体の大きさも長束正家、石田三成、大谷吉継の順に大きく、三人並ぶとまさに三者三様凸凹トリオ。美しいだけでなくそれぞれ個性的な敵役となっています。

作品冒頭の高松城の水攻めのシーンでは、忍城攻めの時の物とは違う、いくらか控えめなデザインの甲冑をこの三人は纏っています。8年の間に出世して、豪華な物を着られるようになったということでしょうか。ほんの1シーンのためにも異なった衣装が使われ、お金と手間隙のかかった作品だと思います。

のぼう様の美しい敵役を讃える その2

関白軍の武将たちの甲冑は、のぼう軍のそれに比べよりカッコ良いデザインになっています。当時の最高級品という位置づけなのでしょうね。おそらく薄くて軽くてなおかつ丈夫、体の線に沿った作りでとてもスマート。

一方ののぼう軍の武将、特に酒巻ユキエのそれはやや鈍重な作りで、実際に出演者たちの甲冑で一番重く総重量は40キロもあるとか。田舎侍の初陣ですから、最新モデルなど着けられるワケもないってことでしょう。でも彼の甲冑の方が戦国武将のイメージに近いような気がします。関白軍の物はやや現代的すぎるかも。

兜と陣羽織のデザインも、石田三成、大谷吉継、長束正家三人それぞれのキャラを表したものになっています。中でも憎まれ役の長束正家のそれは見事。大蔵大輔という財政を担当する役職にある彼の兜には、永楽銭をくわえた蛇の意匠があしらわれえげつなさ満載です。

陣羽織も大きな楓の金刺繍が目を引く派手なデザイン。大柄な彼がこれらを身につけ忍城本丸に軍使として遣わされるシーンでは、のぼう様の神経を逆なでする良い演出小道具になっていると思います。

のぼう様の美しい敵役を讃える その1

のぼうの城の一番の見所は、もちろん主役のぼう様の野村萬斎だと思います。けれど私は敵役である関白軍の面々が皆とても美しく造られていることに最も惹かれました。何しろ関白秀吉があの市村正親だなんて、あり得ないキャスティングでしょう。豊臣秀吉があんなに男前だったら日本の歴史は絶対変わっていたはず。

な〜んて、そんな野暮なつっこみはしません。「悪役は美しくなければならない」この名言は誰の物だったかわかりませんが、私も全くその通りだと思っています。その観点でいうと、この市村正親の秀吉も有りです。そしてその配下の三人の武将が、三者三様にバランスがとれていてこれまた見事に美しいのです。

石田三成という武将、私はわりと好きです。かつて流行った歴女と呼ばれた女性たちが好んだのは、伊達正宗、真田広之など敗軍の将だそうです。滅びゆく者の美しさ、敗者の美学のような物に魅力を感じるのは私も同じ。天下分け目の決戦・関ヶ原の戦いで反徳川の旗印を背負った石田三成は、敗軍の将日本代表と言っても過言ではないと思います。また長束正家と大谷吉継は石田三成と同様、関ヶ原の戦いで最期を迎える武将たち。まさに敗軍の将三傑といったところでしょうか。

この忍城攻めの年、石田三成は30歳でした。演じる上地雄輔もちょうどそのくらいの年齢です。大谷吉継や長束正家も30歳前後。演じる平岳大と山田孝之も同じく30歳前後。前途洋々たる戦国武将を前途洋々たる俳優たちが演じる、これですばらしい作品にならない訳がありません。

「のぼうの城」BDようやくゲット

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いろいろアレコレ紆余曲折し、本日ようやく入手しました。初回限定版で特典映像がとにかく豪華です。まずは特典から目を通し、その後本編を一回観賞。脚本の善し悪しで映画の善し悪しが決まると言っても過言ではないと私は思っていますが、この作品は脚本はもちろんのこと、それ以外の物もどれも文句無く素晴らしい。主演の野村萬斎と二人の監督のコメント入りの本編もあるので、まだまだ楽しめそうです。

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プロフィール

ケフコタカハシ

Author:ケフコタカハシ
半世紀を越える人生のほとんどを西洋かぶれで過ごしてきた主婦。ここ2年ほど山田孝之演じる実写版ウシジマくん中毒。「闇金ウシジマくんthe final」13回観ました。バイバイウシジマなんて言いませんからね〜!

どーでもいい日常の記録
「チェックも縞のうち」


闘病記の
「女の終活日記」
もよろしく。

現在の主な観察対象:山田孝之、ジェイソン・ステイサム
初恋の禿:ユル・ブリンナー
初恋の髭:デニス・ウィーバー
初恋の髯禿:ショーン・コネリー
大きくなったらなりたい物:仙人
将来の夢:一人暮らし
今一番行ってみたい場所:グランドキャニオンとラスベガス、香港
将来の希望:山田孝之の美白ヒゲを拝むこと

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