2014.11.08
ウシジマくんはやっぱり優しい
(C)2014真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん2」製作員会
映画「闇金ウシジマくん Part2」
作品情報
主演の山田孝之を始め、制作者側の人たちは「ウシジマ社長カッコイイ」とか「ウシジマ社長は実は優しい人」などと言うファンにとても否定的です。確かに闇金業者は法律的には犯罪者でしょう。それを誉め称えることは犯罪を助長することになりかねない、だから褒めないでほしい、そういう意図なのだと思います。
でも私は誉め称えないではいられない。ウシジマくんのブレなさはとてもかっこいいと思うし、改心した宇津井を「今の態度は気に入った」と認めたのはとても優しいと感じたから。穏やかな態度で接する、耳に心地よい言葉を投げかける、そういうことだけが優しい訳ではないはず。厳しくすることの優しさもある。むしろ今の世の中は、そういう優しさこそが求められているのではないでしょうか。
映画PART2でのウシジマくんはとても優しい一面を見せてくれます。中でも新人ホストの麗(窪田正孝)を見る目がとても優しい。最初その優しい目の表情は、私の気のせいかと思っていました。同じホストの尚樹や、麗に入れあげる少女彩香を見る目はとても冷たいのに、麗にだけ優しい目を向けるはずがない、そう思っていました。
ナンバーワンホストを目指す麗の設定年齢はパンフレットにもどこにも明記されていません。ですが手がかりはいくつかあります。それらから私が割り出したのは19歳という設定。運転免許は持っているけれど、消費者金融ではお金を借りられない年齢です。親を亡くした麗は、他に借りるあてがないからカウカウファイナンスにやってきた、そういうことだと考えました。
ドラマSEASON2での高田の台詞「おれたちは最後に頼る他人なんだよ」がここで効いてきます。未成年でありながら、カウカウファイナンスに来るしかなかった麗の行く末を、ひょっとするとウシジマくんは案じていたのかもしれません。「どんな仕事でもただ頑張って成功できるほど甘くねぇ。なんでホストになったんだ?」ウシジマくんのこの言葉は、激励としてダイレクトに麗の心に響きます。
「死ぬのがもったいなくなるくらい、女を楽しませるホストになる」こんな決意の言葉を口にして、麗は頑張りました。瞬く間にナンバー5になり、カウカウへの返済もすぐに完了。さらに頑張ってナンバー1にまで上り詰めました。けれども・・・。
その後の麗を見るウシジマくんの眼差しは、切なくやるせなくそして限りなく優しい。派手で浮ついた幸せではなく、小さいけれど地に足のついた幸せに気がついた麗の背中を、そっと見守るウシジマくんは何を考えていたのか。「どんな仕事でもただ頑張って成功できるほど甘くない」という自分の言葉が、全く予想しない方向で的中してしまったことを憂えていたようにも見えます。
カウカウに金を借りにくる債務者たちのことを「奴隷くん」と言って憚らないウシジマくんですが、全ての債務者をそう見ている訳ではないことがここからわかります。どうしようもなくお金に困って、安易にではなく苦渋の決断として最後に頼る他人としてカウカウファイナンスの扉をたたいた者には、寛大な心で接する。そんなウシジマくんはやっぱり優しいと思う。
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