「たかが世界の終わり」観てきました

ヴァンサン・カッセルのヒゲとレア・セドゥの刺青に☆を進呈したいと思います。ヒゲハゲ満足度は満点の5★★★★★



takagaowari.jpg

劇作家として成功していたルイ(ギャスパー・ウリエル)は
家族に自分の死が近いことを伝えるために
12年ぶりに里帰りする
母マルテイーヌ(ナタリー・バイ)は
息子の好物をテーブルに並べ
幼少期に会ったきりの兄の顔が浮かばない
妹シュザンヌ(レア・セドゥ)もソワソワして待っていた
さらに兄アントワーヌ(ヴァンサン・カッセル)と
その妻カトリーヌ(マリオン・コティヤール)も同席して・・
Yahoo!映画より引用




Y氏のカンヌへの執着から「この世界の片隅で」を観に行った時にこの作品の予告編を見て興味を持ちました。
始まる前に例の黄金のシュロのマークが、ば〜んっっ!とスクリーンに登場したので、おおっっ!と思いましたよ。
それにしても、新宿武蔵野館で上映されている物が、地元のTOHOでも上映されていようとはビックリですわ。
うちの近くのTOHOとは、いくらか客層も違うようで、変わった物が観られるようです。
我が家からは各駅停車のローカル線を乗り継いで1時間ほどかかんるんですけど、同じ1時間かけて新宿まで行くより、よっぽどストレスが少ないのが有り難い。

とかなんとか肝心の映画の方はというと。
物語性を求める人にはおすすめできない作品です。
何しろ全く進まないんですわストーリーが。
さらにどちらかといえば、前に進むのではなく過去を探るような展開だというのに、その過去の謎もな〜んにも解き明かされません。
つまり謎解きの答えを求めたがる人にもおすすめできないってことです。

カメラワークも独特で、ものすご〜く演者たちに近いです。
だからといって退屈なアップばかりではなく、実力派俳優5人の表情のみの演技はとても迫力があります。
劇場で観たメリットとしてはスクリーンの大小ではなく、真っ暗な環境で観たことで画像の陰影の深さが良くわかったこと。
ですから自宅観賞の際には、なるべく部屋を暗くして観ることをおすすめします。
作中8〜9割りくらいはとても狭い室内での撮影で、カメラだけでなく演者と演者の距離もとても近いです。
冒頭のルイが家に入ってくるシーンなんて、まるで日本家屋かと思うくらい玄関が狭くてビックリしましたから。

狭い室内での5人の台詞の応酬がとっっても濃くて、見ていて息が詰まりそうになります。
会話の内容も胃がキリキリするというのか、胸がキリキリ痛むというのか、とにかく聞いていていたたまれなくなるんです。
物語は進まない、過去の謎は明かされない、交わされる会話がやりきれない、の無い無い尽くしのこの作品の中に確かにある物それは「ルイへの愛」です。

ルイは成功している劇作家、つまり芸術家です。
この作品の監督グザヴィエ・ドランが生まれたのは1989年3月、なんと平成生まれなのです!
主人公ルイには少なからずドラン監督本人に関わることが投影されているはず。
劇作家ルイを芸術そのもの、もっと端的にいうと映画を具現化したものだとすれば、映画を愛する人ならば、この物語の登場人物の台詞や態度のどこかに必ず共感するものがあるに違いない、私はそう確信しました。


以下ネタをばらしますので、いつもの美しいウシジマくんにご登場いただきましょう。
ネタバレのお嫌いな方はこちらをポチッとしてお帰りください。
/

と言ってもバラすほどのネタもありませんが。

kyuni20171.jpg
なんと美しい!



ルイにはアントワーヌという兄とシュザンヌという妹がいるんですけど、父親のことはほとんど出てきません。
母親はやたら父親との楽しい思い出を語りたがっていましたが、子どもたちからは殆ど父親に関する言葉は出ませんでした。
唯一ルイの回想シーンらしき物で、チラリとその姿が見えたような気がしましたが、それも本当に一瞬でした。
ひょっとすると3人とも父親が違うんじゃないか、とも思ったんですけど。
それだと兄と妹のルイに対する気持ちの説明がつかなくなるから、やっぱり3人とも同じ父母から生まれたんでしょうね。

母親ははっきりルイが一番父親に似ていると言っていました。
おそらく父親も芸術畑の人だったと私は推測しています。
妹は絵を描くのが好きらしい。
兄は工具を作る仕事をしている、と妻が言っていました。
手先が器用ということでしょうか。
3人とも何かしら芸術方面に進もうという意識があり、その中で一番秀でていたのがルイということですよね。

そんなルイを妄信的に崇めているのが妹で、逆にルイを否定することでしか認められない兄。
ルイに対する二人のコンプレックスは見事に対になっています。
ルイ=芸術あるいは映画、という図式で考えると兄と妹の態度はとても理解できるかと思います。
面白い映画好きな映画を観るとテンションは上がり、面白くない映画嫌いな映画を観てしまうと、逆に下がる。
映画好きなら誰しも経験があるはず。

自分の死が近いことを告げるために帰郷したはずのルイは、結局その目的を果たすことなく終ります。
ラストの家の中を飛び回る小鳥のシーンは、鳥好きにはとっっっても胸の痛むものでした。
そして遂に息絶える小鳥の姿にいたってはもう・・・とても正視できませんでしたわ。
言わんとするところはわかってますよ。
小さな家から飛び出した外の世界は、さらに大きな家のような物で、その中でまた彷徨い壁にぶつかり結局は死を迎えるルイの姿を現しているということ。

この『家』のモチーフがオープニングの歌に始まり、物語本編で描かれ、さらにラストの小鳥の様子で繰り返されるのが、ちょっとくどいかなと感じました。
まぁ鳥好きなので特にラストの瀕死の鳥のシーンは見たくなかった、というのが本音ですけどね。
上映館の少ない作品ですが、機会があれば是非ゼヒおすすめです。


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genre : 映画

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こんにちは

こんにちは。弊ブログにご訪問下さりありがとうございました。

胸にきりきりと来る家族間群像劇でしたね。私は何故か登場人物それぞれの、そして全員の立場に立つことができるポジションを生きてきたので(意味不明かも?でもルイみたいに才能や美形を持っているわけではない(笑))、どの役者さんのどの芝居にも、ハートアタックされておりました。

オチの小鳥の部分…もうもう、激しく同意させていただきます。というか、ケフコタカハシさんの手を取って上下に振りたい位です。くどい演出かもしれませんが、メッセージは強く受け取れましたよね。

Re: こんにちは

コメント&TBをありがとうです、ここなつさん。

> 胸にきりきりと来る家族間群像劇でしたね。私は何故か登場人物それぞれの、そして全員の立場に立つことができるポジションを生きてきたので(意味不明かも?でもルイみたいに才能や美形を持っているわけではない(笑))、どの役者さんのどの芝居にも、ハートアタックされておりました。

名役者の名演技あっての作品ですよね。
レア・セドゥとマリオン・コティヤールって10も年齢差あるんですね。
マリオン若いなぁ。

> オチの小鳥の部分…もうもう、激しく同意させていただきます。というか、ケフコタカハシさんの手を取って上下に振りたい位です。くどい演出かもしれませんが、メッセージは強く受け取れましたよね。

実はこの作品「山田孝之のカンヌ映画祭」というドラマの影響で興味をひかれたんですわ。
あ、もしよかったらここなつさんも右カラムにある、ホスト役を見てみたい男性芸能人投票にご参加くださいませ。
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プロフィール

ケフコタカハシ

Author:ケフコタカハシ
半世紀を越える人生のほとんどを西洋かぶれで過ごしてきた主婦。ここ2年ほど山田孝之演じる実写版ウシジマくん中毒。「闇金ウシジマくんthe final」13回観ました。バイバイウシジマなんて言いませんからね〜!

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「チェックも縞のうち」


闘病記の
「女の終活日記」
もよろしく。

現在の主な観察対象:山田孝之、ジェイソン・ステイサム
初恋の禿:ユル・ブリンナー
初恋の髭:デニス・ウィーバー
初恋の髯禿:ショーン・コネリー
大きくなったらなりたい物:仙人
将来の夢:一人暮らし
今一番行ってみたい場所:グランドキャニオンとラスベガス、香港
将来の希望:山田孝之の美白ヒゲを拝むこと

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